ギネスブックにも載っている世界一の感染症とは

歯周病は「バイオフィルム」という細菌による感染症です。感染症の中で感染者数が世界一多いのです。そこには「バイオフィルム」が大きく関係しています。

バイオフィルムとは、細菌が共同生活している集合体のようなもので、歯と歯茎に対して強固に張り付き歯茎に炎症を起こします。更にバイオフィルムは耐性も強いため、抗菌剤や抗生物質を通さず、免疫細胞である白血球も入り込むことができません。その結果、細菌が増殖し歯槽骨(歯を支えている骨)に細菌が侵入しようとするのを防ぐ自己防御反応として、歯を支えている骨の破壊を起こすのです。また、重度歯周病になってしまうと、歯周外科(歯茎の手術)や再生療法など、複雑かつ大変な治療が必要になり容易には治りません。しかし、初期の歯周病は比較的簡単に治る病気なのです。なぜなら、どんな重度歯周病であろうとも、最初は軽度の歯周病なので、個人の歯周病のかかりやすさ(リスク)を調べることによって、早い段階から歯周病の進行を止めることが可能なのです。できるだけ若いうちから適切な治療をし、定期的に管理しておけば、悪化を防ぐことができる病気であることが分かってきました。

定期的な管理とは自身のリスク(かかりやすさ)を知った上で、セルフケアとプロフェッショナルケア(歯科医院で行うバイオフィルムの除去)を行うことです。日本人の多くの方は、健康な状態で歯科医院にメインテナンス目的で通う習慣があまりないため、悪くなってから歯科医院に通い既に手遅れな歯周病の患者さんが多いのです。悪くなってからでは、治療も複雑で大変です。定期的なメインテナンス(管理)で、いつまでも自分の歯で食事をして健康でいられるようにお手伝いをしています。