むし歯があっても宇宙飛行士になれるの?

「フライト前にちゃんと治療すれば大丈夫です」と、JAXA(宇宙航空研究開発機構)のフライトサージャン(宇宙航空医学の医師)が言っています。むし歯があっても治療してあれば問題はなく、歯に詰め物があっても大丈夫です。

宇宙飛行士は、打上げの前に、外れそうになっている詰め物はないか、飛行中に悪化しそうな歯はないか、歯科医師に検診を受けます。

宇宙空間で着る宇宙服の中は約0.3気圧に減圧されているそうです。

宇宙飛行士はこの減圧環境で作業をして、宇宙船の中では宇宙服を脱ぎ1気圧の中に戻る、ということを繰り返すのですが、もしむし歯や不十分な治療の歯があると、ひどい歯痛が起こる可能性がとても高くなります 。

スペースシャトル「エンデバー号」の日本人初の宇宙飛行士である毛利衛さんは「95年の選抜では親不知とむし歯の治療をしないままに2次選抜に臨んだため、不合格通知の紙にはしっかりと『歯科治療の必要を認める』という一文があった」と話されています。
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もしも、宇宙で歯が痛くなったら、まず痛み止めの薬を飲みます。どうしてもそれで痛みを抑えることができない場合には、フライトサージャン(医師)の指導の下、他の宇宙飛行士が歯を抜く可能性があります。無重力の状態で歯を削るような治療をしたら、水分や削った粉が飛び散って大変なことになりますし、歯を削る装置は現状では宇宙にありません。

 現在、国際宇宙ステーションの船長を務める宇宙飛行士の若田光一さんによれば、「歯を抜く訓練は、地上にて受けている」とのことです(『宇宙飛行』若田光一著より)。

 むし歯予防をすることは誰にとっても大切なことですが、 将来、宇宙飛行士を目指す方は、特にしっかりケアをして、できるだけむし歯をつくらないように頑張りましょう 。