予防プログラムに沿ったオーダーメイドの発症前治療

本当に虫歯や歯周病を防ぐには、患者さん一人ひとりの口の中の状態を把握したうえで、予防を行わなければなりません。そこで必要となるのが、「唾液検査」です。病気のリスクを細菌レベルで検査し数値化して、その人の危険性に合った予防プログラムを作成します。

唾液の量に唾液の質、口の中の細菌量など、さまざまな要素を把握することで、虫歯予防をメインとするのか、または歯周病予防をメインとするのかなど。その患者さんの口の中の状況に応じたオーダーメイドの治療が可能になるのです。

「唾液検査」とは、口の中の状況を把握する検査です。味も香りもないガムを5分間噛み、唾液を採取するだけなので、痛みなど全くありません

唾液検査でわかること

  1. 唾液の分泌量・・・唾液には、自浄作用や中和作用などがあり、分泌量が少ないと虫歯や歯周病になりやすくなってしまいます
  2. 唾液の緩衝能(唾液の中和力)・・・唾液には酸を中和して虫歯を防ぐ働きがあります。唾液の中和力が弱いと虫歯になりやすくなってしまいます。
  3. 虫歯菌(ミュータンス菌、ラクトバチラス菌)の数・・・虫歯菌が多いほど、虫歯リスクが高く、適切な虫歯予防が必要になります。

唾液検査は、客観的に口の中の多くの情報得られる素晴らしい検査なのですが、保険が適応となりません。日本の保険制度では、病気にならないと保険が適応にならないのです。日本の歯科医療が、予防中心ではなく治療中心となって、高齢になると入れ歯になってしまうのも、この保険制の問題も大きく関係していると言えるでしょう。

しかし、虫歯や歯周病になったら、痛い思いをするうえに、治療費もかかります。多くの歯を失った場合には、入れ歯も大きくなります。「私は大丈夫」と思っている人が多いのですが、80歳になる頃には日本では2人に1人が総入れ歯になっているのが現状ですし、虫歯や歯周病になった方が、費用は高くなります。