総合的な治療例 1
総合力で、長期に安定した長持ちのする結果を目指します。
虫歯・顎関節症・歯の欠損・歯周病・審美性などがある複雑なケースから
主訴:噛めない。 32歳 男性
奥歯がないので、歯の病的な移動が起きています。
顎もスムーズに開かず、開口時に音がします。
治療に入る前に
- 「どうしてこのような状態になってしまったのか」を患者さんと話し合い、患者さんの役割・歯科医院の役割をしっかり話し合います。
- 唾液検査から患者さんの虫歯リスクを調べ、予防プログラムを立てて、予防を軸とした治療計画を提案しています。
- また「早期発見・早期治療」は本当は歯を守っていないことを理解していただいています。
噛み合わせのより詳しい診査
当院では歯の型取りなどの一般的な検査の他に、顎の骨格のレントゲン検査(セファログラム)や下顎運動を測定し顎関節の状態や噛む位置を診断する装置(アキシオグラフ)などを利用した検査をしています。長期に安定した噛み合わせを構築するためです。複雑な症例には特に必要です。
最終目標への話し合い
- 治療方法にはいくつかの選択肢があります。それぞれに利点・欠点があります。また治療期間や費用のこともあります。
- 患者さんとじっくり話し合いを行ないます。
- 多くの方に「歯の健康教室」を受けていただいています。
- 噛み合わせを治す場合には、矯正治療で歯を移動すると良いこともあります。
- この患者さんの希望は、「しっかり噛めたい」 「顎関節症も治したい」「インプラントはしたくない」でした。
唾液検査・予防プログラム作製
噛み合わせの改善のために矯正治療を用いた
虫歯治療と平行して、歯の病的な移動の修正と顎のズレを矯正的治療方法を用いて改善を行なった。
噛み合わせ治療終了時
約9ヶ月の期間で装置を外せた。
マルチループテクニックの素晴らしさです。
歯周病治療、欠損治療 終了時
歯周ポケットもなくなり清掃性の良い口腔内環境が確立した。
審美性の改善もできた。
パノラマレントゲンよる比較
治療開始前の話し合いの約束通り歯の欠損部分にはインプラントは用いなかった。
矯正治療時に、残根の歯と親知らずを移動して歯列に参加させた。
セファログラムによる比較
噛み合わせの基本となる咬合平面も正しい位置に設定ができた。
患者さんの骨格に調和した個性正常咬合が再現できた。
アキシオグラフ
顎関節の位置も生理的な位置に設定でき、スムーズな運動が可能になった。
治療結果の永続性
治療した結果が良く長持ちすることが、患者さん・歯科医院側の共通の思いです。歯の治療には虫歯の穴を埋める単純な治療から、このような複雑な治療まで幅が広いです。問題を一つひとつ解決するためには、総合的な考え・理論・技術が必要です。この患者さんはとても喜ばれました。
「早期発見・早期治療」では歯を守れない患者さんの理解と、この結果を長期に持たせるメインテナンスシステムを歯科医院が備えていることも必要です。