エナメル質を強くする

歯の表面は、エナメル質とセメント質で覆われています。セメント質の部分は歯肉の中に入っていて通常、口の中を鏡で見ても確認することはできません。鏡で見える部分がエナメル質と呼ばれるところです。乳歯ではお母様のお腹の中にいる時からこの部分が造られます。永久歯では12才ころまでにエナメル質が作られ萌出することになります。歯槽骨内でエナメル質が造られるときは先ず蛋白質の繊維ができそこにカルシュウムが沈着してできます。

萌出したばかりのエナメル質は幼弱で軟らかくむし歯にかかりやすい状態ですが、唾液や神経と呼ばれる歯髄の血管を通して運ばれてきたカルシュウムが象牙細管を通って補給されるようになり、エナメル質が成熟していきます。

食事をするとエナメル質表層のカルシュウムは溶け出し、食事が終わると唾液からカルシュウムが補給され再石灰化(歯を修復する働き)が行われエナメル質は元どおりに修復されます。しかしこの時唾液中にカルシュウムがなかったり、唾液が酸性だとエナメル質は修復されないことになります。

エナメル質中のアパタイトを構成するものには炭酸カルシュウムとフッ化カルシュウム(フッ素)があり、炭酸カルシュウムは硬いのですが酸に弱く、すぐ溶け出してしまいます。フッ素は自然界に存在している物質でお茶、ウーロン茶、紅茶などに含まれています。フッ化カルシュウムは炭酸カルシュウムほどは硬くありませんが酸には強いので虫歯予防には非常に有効でWHOでも推奨しています。生涯を通じて最もむし歯予防に有効な物質です。またフッ化物は水などといっしょに飲み歯の内側から強くする方法とペーストとして歯に塗布して強化する方法があります。フッ素を積極的に摂ることをお勧めします。