歯肉が下がった。沁みる

歯肉が下がってしみると来院

45歳、女性、「他で矯正治療を受けた後に歯肉が下がってしみる」と言われて来院されました。

専門的になりますが、歯肉には角化歯肉と固有粘膜があります。角化歯肉が残っている場合は それ以上下がるリスクは少ないのですが、無い場合は大きいです。この患者さんは後者です。根の先端部分に近いところまで下がっています。上顎(口蓋部分)からの角化歯肉を移植し根面カバーを行ないました。この治療方法は歯周病治療の歯肉を強化させる治療の中の一つです。

なぜ、矯正後にこのように歯肉が下がってしまったのでしょか?

それは矯正治療の診断が甘かったと思います。この歯は 歯を支えている骨(歯槽骨)からはみ出てしまっているためと考えられます。矯正による歯を移動させる方向にエラーがあったと思います。

露出した根面が大きいため一度の手術では完全にはカバーは難しいことを伝え行ないました。骨からはみ出ているため 血液供給も少なくなってしまうため難度が高い処置でした。

治療後は沁みることも無くなったため、完全カバーのための2回目の処置はしなくても大丈夫との返事をもらいました。

歯科の治療は、総合的な考え方が必要であり 各種の技術も身に付けないといけないといけません。