総合的な治療例 2

意外と知られていない顎関節症の原因についてお話します。

38歳女性の患者さんの例

患者さんは38歳の女性です。「差し歯と詰め物が取れて食事がしにくい」と言われ来院されました。

口腔内を診てみますと、左側の歯が取れています。専門的な眼で診てみますと、この年齢で奥歯が磨耗して異常に磨り減っているのが気になりました。本来であれば奥歯には山と溝があります。歯が平らになっています。

奥歯の磨り減りはいろいろな問題を引き起こします。歯の破折・歯周病の悪化・歯肉の退縮・顎関節への負担過重などです。この歯が何度も折れる原因は、前歯がキチンと噛みあっていないからです(開咬と言います)。

顎の様子も尋ねましたら、中学生の頃より関節の調子が悪く、口を開けると音がして痛みもあったそうです。取れた歯の治療は直ぐしますが、将来を考えて「噛み合わせ」も治療したほうがよろしいと提案しました。残りの人生の40年以上を、歯が健康で過ごしてもらう計画を立てました。

まずは「虫歯のかかりやすさの検査」を行い、平行して顎の機能検査を行いました。その結果は考えていたより重症ではなく、関節円板は正常な位置にありました。しかし大きくずれていました。そこで矯正治療を用いて関節円板のズレを治し、原因である前歯の開咬を治しました。その後、虫歯治療、冠製作を行い、長期に安定した噛み合わせを得ることができました。

審美性も改善しました。顎の不快症状もなくなり、患者さんにはとても喜んでいただけました。

このように前歯と奥歯はの噛み合わせは、お互いに助け合って調和をとっています。

噛む力は自分の体重と同じほどの力が加わります。人類は長い進化の過程でこの調和を築いてきました。

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重症ではありませんでした。

しかし、左の顎関節は関節円板が咬合力によって押し出され偏位を起こしていました。

初診時

初診時口腔内です。上顎の左の小臼歯は歯根部分で折れていて抜歯となりました。とても磨耗が進んでいます。

虫歯のリスク評価も行い、総合的に治療

虫歯のリスク評価も行い、総合的に治療を行いました。長期に安定する健康な口腔を回復できました。

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関節円板は正常な生理的な位置に復元しました。

治療後

新しい生理的な噛み合わせを構築できました。

治療後口腔内です。左の小臼歯は抜歯しましたが、どの歯が欠損しているか分からないように審美的に回復できました。

審美的に回復

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