治療結果の永続性 その1
患者さんの皆さん こんにちは、 岩下です。
まだ暑い日が続きますが、日は短くなってきて秋が近いのを感じます。
今年は節電のために夏休みを長くとりました。十分にリフレッシュできました。夏休み中は普段できない整理や読書ができ充実していまた。
治療結果の永続性
今回は、難しいタイトルを付けました。治療が完了した部分は長期に変化なく長く持ってもらいたいのは患者さんの希望であり、診療サイドの本音です。今回は「インプラント」について説明します。
インプラントは歯を喪失した部分に行う治療方法です。自費診療になりますし手術も必要です。インプラント治療ほど「治療結果の永続性」をしっかり考えないといけません。歯を喪失するには理由(原因)があります。その原因を見つけ解決しないと同じことが他の歯にも起こってきます。また、患者さんのライフサイクルを考え、口腔内の将来像や口腔内の変化も見据えないといけません。先日、インプラントを他所の歯科医院で行った患者さんが来院されました。今まで歯がグラグラすると歯周病だからと言われ 抜歯をされてインプラントを行っていたという患者さんです。
口腔内を見ますと上顎に4本、下顎に3本のインプラントが入っていました。しかし、原因である歯周病の治療が施されていません。今も歯周病があります。残存している歯は重度に近い歯周病で、次にグラグラしてきた歯にもインプラントを勧められたと怒って話されていました。もし、これが欠損のために行うインプラント治療なら、将来この患者さんは将来何本のインプラントを入れ続けるのでしょか?歯周病菌がインプラントに移って感染を起こしてしまします。
10年後はどうなっているのでしょうか?(この方の口腔内は、私が行った治療ではありませんのお見せできません。)
今回、下顎の義歯が痛くて咬めないと言われて、岩下歯科に来院された患者さんを通して続きをお話します。
患者さんは初診時1990年2月に来院されました。下顎には2本の前歯が残っていましたが、義歯のバネがかかる歯となっていて動揺していました。
奥歯は長年の義歯により支えている歯ぐきや骨が痩せていました。2この方は2本の歯を失って総義歯になったとしても、その後の口腔内変化はありません。インプラントで支えられた義歯を作製したとしても将来にわたって口腔内に大きな変化は起こりません。そこでインプラント治療を行いました。1990年の11月に治療が終わりました。
1年に1度のメインテナンスに来院されています。ほぼ21年が過ぎ、インプラントも十分に機能しています。患者さんは今年85歳になられ、この9月から要介護のため長女の方の近くの老人施設に入られるそうです。患者さんのメインテナンスもよかったこともありますが、将来にわたって変化が少なく「長く持って具合が良い」ことが患者さんと医院サイドの思いです。将来を見据えた治療計画や治療理念が大切です。
この21年の間に右側(画像では左側になります)の人工歯は咬耗して磨り減って形がなくなっています。数年前に患者さんに歯の部分だけ取り替えましょうかと相談しました。しかし、患者さんは咬むことには困らないのでこのままで大丈夫とのことでした。今でも何でも食べれて家族と同じものが食べれると言って、楽しく食事していますと返事をされました。
引越しをして静岡県に移られるとのことです。今後も義歯のお手入れを頑張ってお元気でお過ごしください。